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#2
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【デザイナー’s Blog】7年着られるリブ衿Tシャツのおはなし
こんにちは。
デザイナーの武石です。
今回の【デザイナー’s Blog】は、当店自慢の「7年着られるリブ衿Tシャツのおはなし」です。
え? なんだって!? Tシャツを7年も!?
はい、そうなんです。その面々がこちら。
衿ぐりと裾に配されたオリジナルリブと、このTシャツの生地がどのように出来上がったかなどをお話ししたいと思います。
世の中はセールの只中にありますね。(そろそろ終わるのかな)みなさん何か良いお品に巡り会えましたか。
KICS DOCUMENT. では、オンライン・オフライン店舗共にいわゆるシーズンセールというものはしていません。
「シーズンが終わってしまったから、この商品もなんだか終わりを迎えました」というものづくりをしていないからです。
(だけども、私自身がそうであるように、すごく欲しいけど初めて試してみるにはちょっと勇気が出ないお値段だな…とか、諸事情によりオンラインでしか購入出来ない場合などは、セール価格になっていると少しハードルが下がるものですね。と、いうことで年に二回くらいは不定期にセールをしてみています。)
こちらは、そんなトピックにふさわしいTシャツです。
「大人が一枚で着てサマになるTシャツを作りたい!」(大人のTイチ叶えたい!)
と、強く思ったのが開発の動機でした。
若いうちは、おばあちゃんに「あら大変、破れちゃってる。」
と心配されても
「おばあちゃん、今はこれがカッコイイんだってば。」
と返したくなるようなびろんびろんのロックTで良いのです。だって本当にかっこいいもの。
でもちょっと大人になってくると、似合う服は変わってきます。
でも大人になったってTイチで歩きたいですよね。日本の夏、暑いし。本当、凄まじく暑いし。
そこで。「大人が一枚で着てサマになる」を突き詰めていくと、『上質でしっかりとした素材』『質の高い縫製』という二つのポイントに辿り着きました。
てことは必然的に『=何年でもずっと長く着られる』と、なります。
思い立ったが吉日。いつも協力してくれるカットソー工場さんに相談に行き、糸選びから編み方(今回はオーソドックスな天竺編み)、加工方法、染色工程、縫製仕様まで、いつものようにああでも無いこうでも無いと数時間にわたり話し合い。(この時間が私一番幸せです。)
そして出来上がった形はこちらの半袖と
こちらの五分袖
の2種類。
ポケットが付いていたり付いていなかったり、袖の長さが違ったり、リブのデザインや配置が違ったり。
皆さんのお好みはどちらでしょうか。もちろん両方。全然有りです!有りであります!
素材はこの通り。
本体:綿 100%リブ部分:ポリエステル 100%
身生地の綿天竺は「度詰(どづめ)」といって、度目(どもく)の詰まったしっかりとした規格で依頼。編み機にかけられる限界まで糸分量を使用して編むので、時間も糸量もかかりますが、目の詰まった美しくしっかりとした生地が出来上がります。
その生地にほんの少しだけ、上品なツヤが出る様シルケット加工を。これは「シルクのようなツヤが出る加工」として、名前がついた加工方法です。これが、さらに大人っぽい質感を生み出すのに一役買っています。
そしてそして、このTシャツシリーズの陰の立役者といっても過言ではないのが、衿や裾に配されたリブですね。
それぞれリブの種類と配置が違うのですが、このリブ、私がスケッチを起こして、リブを専門の工場さんに依頼して編み立てて貰った、完全オリジナルなものなのです。
その時のラフスケッチがこちら。
実際はもっと緻密な設計図を起こして依頼しますけども。
それでここ、大きなポイントなのですが、ポリエステルで出来ているので首が伸びない!!
もちろん伸縮性はあるので、脱ぎ着はとってもスムーズですが、綿に比べてキックバック(戻る力)が強いので、何回洗っても何回着てもへたらないんです。「そんな夢の様なTシャツがあるのか!」と、思いついた時は本当小躍りしたい気分でした。
これが、今回お題にもなっている「7年着られる」の所以(ゆえん)です。(やっと着地した。ほっ。)
ちなみに糸はこんな見本帳から選ぶのですが
こんなにあるのに、どうしてもイメージの色が見つからない時も多々あります。
そういう時は私は潔く作るのを諦めます。うん。
色を妥協すると、絶対に後で後悔しますから。何日も、何ヶ月も、何年も、「やっぱり納得いかないなぁ。」と、うじうじうじうじするので。良くないですね。
今回は3色、白・黒・グレージュと、本当に渾身の、好みの色で出来ました。
洋服を生業にしている者としては、「長く着られる=買い替え頻度が低くなる」ということで、非常に複雑ではあるのです。が、私自身は常に自信を持っておすすめ出来る商品を生み出し、提供し続けることに大きな意味を見出しています。
そんなフィロソフィーと共にファンになって下さる方がたくさんいると嬉しいな。と、今日もちょっと多めの熱を込めてお届けしました。
デザイナー 武石